Skip links
Published on: 武蔵野政治塾コラム

NEW!!事務局長コラム更新!『シンガポールのマイナンバーカード』

 

武蔵野政治塾 事務局長

橘 民義

小川淳也と山本太郎 -この2人をトップに立憲民主党 4人, れいわ新選組 3人の皆さんと一緒に、シンガポールに行ってきました。ええ、なに、その組み合わせは、何か起こるの、と思われる方は次の号を期待してください。

※2人の動画はこちらからご覧ください。

自民党の女性議員がパリでエッフェル塔の前で撮った写真をSNSに載せるという阿呆なことをしでかして、そうでなくても国民の厳しい目で見られている政治家の海外視察がますます行きにくいご時世ですが、国会議員が全員 エコノミークラスで行くというこの旅は、全て自分の責任で出費しているので やましいところは全くないといえ、なんだか ちょっと監視されているようで、すこし晴れない気分で 飛行機に乗りました。そんな旅に同行するからだろうと言われればその通りですが、それなりの理由があるわけです。
これも次の号に書くことにいたします。

そんな具合ですから、この旅は 1日に6箇所の訪問先でヒアリングするだけではなく 議論までしてくるという ハードな内容を組んで、これでもかというぐらいの 海外視察の見本のような日程をこなしてきました。狙いは シンガポールのIT 化されたネット社会の状況で、 マイナンバーが生活のありとあらゆる所に浸透して行けばどんな世の中になるかということを、そうです 今日本がやっていることをどんどん進めていったら将来どうなるかという姿を見ることが大切だと思ったわけです。

シンガポールは世界デジタル競争 ランキングで毎年トップグループに評価されている国です。そして同時にマイナ ンバー制度も早くから 普及して生活に密着した形で取り入れられています。その仕組みは 少々複雑なのですが、ものすごく端折って簡単に表現すると次のようになります。
国民全員が出生時に個人番号( マイナンバー)を国から 振り分けられます。 15歳以上になると 全員プラスチックのカードも発行されますが、今はスマホを使う人が多くなっています。
この番号は 国民の生活や ビジネスの取引などにほとんど関与しています。
年金、税金、医療、 教育、運転免許、などの行政とのやり取りはもちろんのこと 、ビルの入居、不動産売買、 銀行口座、クレジットカードなどの 民間取引も全てこの一つのナンバーで照合が行われ、 日本のようにたくさんの番号はありません。
コロナの時は予防接種の記録、 PCR 検査の結果なども登録し、スーパーで買い物するにもマイナンバーがないと入れないようになっていました。

そうです、これがないと生活できないのです。ほぼ97%の人が使っています。
聞けば聞くほど びっくりなのですが、ここに住んでいる人はもうすでにそれに慣れてしまっていて、その便利さを楽しんでいるように見えます。 いや 楽しんでいるかどうかは その人によって違うでしょうが 、とにかく私たちが日本で電車に乗る時には Suica やPASMO を普通に使うように、この国ではマイナンバーを使用できるアプリが入っているスマホを使って、行政へのアプローチだけではなく民間の取引も、すべてサクサクとしているのです。

多分シンガポールの人でこれを不満に思ったり不自然だと思っている人は極めて少ないと思います。ものすごく 効率が良いので、いろんな経費は削減されているし、何よりも活動の時間が少なくてすみます。

さてさて、ここまで書いて、これは素晴らしいと言ってしまえば、 先日 河野太郎 デジタル大臣がシンガポールを訪問したのと同じような話になってしまいます。
考えなきゃいけないことは、本当に今日本の政府が進めて行っているスピードで走って良いのかということです。

そのように考えていくと 問題は3つに絞られてきます。
1つは今日本で起きているように 進化の途中での大きなトラブルや事故や 無駄、何よりも出てしまってはいけない情報漏洩が避けられるのか。
シンガポールでもここに至るまでには多くの困難があったことも事実です。 医療情報が大量に漏洩して 総理大臣の医療情報まで他の人の目に触れられたという話も面白く聞かされました。

2つ目は国家権力によって全てが監視されてしまうという状況になってしまう。
シンガポールはこのマイナンバーの制度以外にも国民を監視しようと思えば、いくらでもできるように、街中に監視カメラが張り巡らされています。そのことによって犯罪は極端に少ないそうですが、人々はいつも誰かに見られているという状況にあります。

3つ目は どうしてもそれについていけない人たち、シンガポールでは3%ぐらいの人ですがその手厚いケアー。これをきちっとやらないと激しい差別社会となってしまいます。

小川淳也さんも 山本太郎さんも シンガポールの街頭で撮影した動画では、「信頼できる政府じゃないとこのようなことはできない」と語っています。
皆さんはどう思われますか。(続く)